オン ザ ソファ

一人きりで暮らしているから、どうでもいいことを聞いてほしい

始めました。

24年間の人生で縁(えん)も縁(ゆかり)もなかった仙台で突如働き始めることになってから、2.5ヵ月が経過した。体感ではもう少し長くいるような気がしていたけれど、意外とまだ短かった。
仙台はいい街だ。
何よりも、涼しいところがいい。関東に長年、関西に数年住んでいたけれど、どちらも夏はひどくじめじめして暑かった。その点、仙台は気温も湿度も上がりにくくて、適度に風も吹く。真夏の夜でも扇風機を回しておけば十分快適に眠ることができる。
仙台駅に行けば買い物には困らないし、市内に点在する東北大学のキャンパスを囲むようにして住宅や商店街が並ぶため、市全体に活気があって治安もいい。東京などに比べれば家賃もかなり安い。
そんな、まさに良いことずくめの仙台暮らしであるが、ただ一つ困ったことがある。
前述の通り私はこれまでの人生を関東と関西で過ごしてきた。仙台に来たのは仕事の都合で、ここには家族も、学生生活を通じて友情を育んできた友人たちもいない。 つまり、話し相手がいないのだ。
断っておくと、私は同僚とは極力仕事以外の会話をしたくないタイプの人間だ。理由は、言葉では説明がしにくい。なんとなくとしか言いようがない。しかしそんなフワついたスタンスの割に、この性質はなかなか頑固でタチが悪い。
退社の速きこと風のごとし
気配を絶つこと林のごとし(話しかけられ予防)
定時後に同期に話しかけられて苛立つ様、燃え盛る火のごとし
断った飲み会の数、積み重なること山のごとし
武田信玄っぽく書いてみたものの、出来も内容も、ひどい。後半が特にひどい。
このような具合で、職場では仲良く軽口を叩き合えるような友人ができないし、作る気もない。
スポーツジムにでも行けば友達ができるだろうかと調べてみたが、近所には りらくぜーしょん&ふぃっとねす すこやか(仮名) といった雰囲気の、私が行ったところで平均年齢62.8歳→60.6歳にしかならなさそうな施設しかなかった。多分そこに通う人々は体づくりというよりは健康づくりに真剣に取り組んでいる人たちだろうし、私のような出会い目的のにわか(人生の)は相手にもされないだろう。
遠く離れた友人たちにLINEを飛ばすという手もあるが、顔の見えないコミュニケーションはあまり得意ではない。それに私が欲しているのはリアルタイムの話し相手だ。その時思ったことを、Netflixのイカれたドキュメンタリーの感想だとか、小さい頃から疑問に思っていたどうでもいいことを、パッと言ってふーんと聞いてくれる相手が欲しいのだ。
しかしよく考えると、そんな相手はいない。仙台にいるとかいないとかではなく、現実にそんな都合のいい人間はいない。そこで、ブログという不特定多数が見てるか見てないかわからない場所に書けば、聞いてもらった気になれるのではないだろうか、と考えた。閲覧数を確認しない限り、『誰かが読んでくれている』可能性が常に50%も存在するのだ。有名な思考実験を応用した、圧倒的ライフハックである。
その昔、2chという巨大掲示板があった頃、スレッドにどうでもいいことを書き込むとすぐに「チラ裏」というレスポンスがついたらしい。これは「そんなどうでもいいことは、チラシの裏にでも書いておきなさい」という意味の、ハイコンテクストなスラングである。偉大な先人の言葉に従えば、私はもっとどこか人目につかないところにこの文章を書くべきだったのかもしれない。
でもせっかく書いたんだし、ちょっと恥ずかしいけど、見てほしい。
そんな、夜の学習塾付近をウロつくおじさんにも似た気持ちで以て、このブログを始めるのである。

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